科・属名

ツツジ科 Ericaceae

ツツジ属 Rhododendron

学名

Rhododendron japonicum (A.Gray) Suringar

英名

Japanese azalea

和名の由来

レンゲツツジの名は仏の蓮華のように花が輪状に並ぶことに由来する。

学名の由来

Rhododendron ギリシャ語のrhodonバラ色の+dendron樹木の意。Japonicum 日本産の

木の特性

分布

北海道南部、本州、四国、九州。日当たりの良い草原、湿地、明るい二次林などに生育。

形態

落葉低木。

葉は長さ7㎝ほど、先端は鈍頭。基部は細くなり葉柄に続く。葉脈は裏面に飛び出し、両面は有毛。葉縁にも毛がある。葉の先端には色の薄い突起状のものがある。

初夏に葉が展開する頃にロート状の合弁花を枝の先端に数個付ける。花は朱色-赤。雄しべは5、花糸の基部には細毛がある。雌しべは1。花柄に腺毛。

果実は朔果、長さ3㎝程度、先端に雌しべが宿存。

特性

花にロドヤポニン-I,Ⅱ、Ⅲ、葉にグラヤンボトキシン-Ⅰ、根皮にスパラッソルを含む。ロドヤポニンはツツジ科カルミア属、ツツジ属などに含まれ、強い毒性を有するグラヤノトキシン骨格を持つ化合物群の一つ。

グラヤノトキシン類はツツジ属の花から集められた蜂蜜からも見出されている。参考:グラヤノトキシンⅠのマウスでの半数致死量は1.31mg/kg(内服)。グラヤノトキシンには血圧降下作用がある。

生薬

生薬名

羊躑躅:神農本草経(下)はトウレンゲツツジ Rhododendron molle G.Don

またはシャクナゲ

使用部分

採集時期・方法

花期に花を採取、日干しにする。

薬性・薬味

辛 温

応用・利用

有毒なので、薬用には利用しないが、民間で殺虫・蛆ごろしや皮膚寄生虫の駆除薬に使用されたことがある。

駆風・除湿・止痛の作用があり、中国では「リュマチによる頑固なしびれ・骨折疼痛・皮膚頑癬などに用いられる」という記載がある。

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

花、葉、根を酒に入れてエキスを作り、神経痛、リウマチ、痛風などの鎮痛剤として、また、消炎剤として飲用する。外用としては酒エキス、あるい粉末を患部に塗布する。

有毒なので、家畜などの動物が食べず大群落をつくる。

漢字の「躑躅」(つつじ)の語源は中国である。毒性のあるツツジを羊が食べたところ、足踏みしてもがき苦しみ、うずくまったと伝えられている。この様な状態を躑躅(てきちょく)といい、この語には「行って止まる」つまり「躊躇」(ちゅうちょ)の意味のあることから、美しいツツジは見る人の足を止めると言う意味で使われたとも言われる。

ツツジ科植物の毒性は古くから知られており、BC4にギリシャの軍人、著述家のクセノフォンの記述のなかで兵士がツツジ属から得た蜜で中毒したと記録している。

このように花の蜜に麻痺を含むので養蜂家はレンゲツツジの自生地では蜂蜜を採取しない。

放牧地の家畜も毒性を嫌い食べ残すのでレンゲツツジの群生地となるところが多い。