科・属名

アカネ科  Rubiaceaee

クチナシ属 Gardenia

学名

Gardenia jasminoides Ellis

英名

Cape jasmine、Common gardenia

和名の由来

果実が熟しても割れない事から「口無し」

学名の由来

Gardenia  米人医師、博物学者A.Garden氏に因む

Jasminoides 花の香りがジャスミンに似る。

木の特性

分布

東アジア(中国、台湾、インドシナ半島)、日本(静岡以西の四国、九州、南西諸島)に自生。

野生では森林の低木として自生するが、園芸用に広く栽培される

形態

常緑低木。

葉は対生、時に3輪生、長だ円形で表面はつやがあり、葉脈が明瞭である。葉の基部には小さな托葉がある。

夏に咲く白い花には強い芳香があり、枝先に1個付く。花冠の基部は細く、先端は5-6裂し、平坦に開く。雄しべは6。雌しべ1の花柱はよく目立つ。八重咲きの花は結実しない。

子房下位の果実は長さ2㎝ほど,だ円形で先端に針状のがく片の名残が6本つきだし、側面に稜として残る。

特性

果実はモノテルペンのガルデノン、ガルデンジオール、イリドイド配糖体のガルデノシド、ゲニポシド、シャンチサイド、カロチノイドのクロマチン、ノナコサン、βーシトステロール、マンニトールを含む。果実の色素はクロセチン、クロチンである。花はジャスミン、ネロリに似た香りを有する。

花の精油の主成分は、ベンジルアセテートで、ほかにメチルフェニルカルビニルアセテート、リナロール、テルピネオール、リナリルアセテート、メチルアントラニレイト、モノテルペン配糖体の(R)-linalyl 6-O-α-L-arabinopyranosyl-β-D-glucopyranoside, bornyl-6-O-β-D-xylopyranosyl-β-D-xylopyranosyl-1-β-D-glucopyranosideを含む。

生薬

生薬名

梔子  神農本草経(中)はGardenia jasminoides (Thunb.)Ellisで同じ

使用部分

果実

採集時期・方法

秋に熟した果実を陰干しで乾燥、採集後、熱湯に2~3分ほど漬けてから陰干してもよい。

色・味・香り

外面は黄褐色~黄赤色。果皮の内面は黄褐色。弱い匂いがあり、味は苦い。

撰品

小型の卵形で、内部の黄赤色のもの

主な薬用成分

イリドイド配糖体(geniposide)、フラボノイド(gardenin)、黄色色素(crocin、rocetin)、脂肪油(種子に14~18%)、有機酸(caffeic acid)、糖類(mannitol)

公定書

日本薬局方 ―サンシシGARDENIAE FRUCTUS

       クチナシGardenia jasminoides Ellis(Rubiaceae)の果実

  局外生規  ―

  中共薬典  ―FRUCTUS GARDEAE

  茜草科植物 梔子Gardenia jasminoides (Thunb.)Ellis的

         干燥成熟果実

漢方例

黄連解毒湯(外台秘要)、清上防風湯(万病回春)、茵陳蒿湯(傷・金)

薬性・薬味

苦 寒

応用・利用

消炎・利尿・止血・利胆・鎮静作用があり、充血・吐血・煩躁・黄疸・炎症・高血圧などを改善する薬方に配合される

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

庭園樹、公園樹に利用される。花は香りがよく、花は最初は白色で, 日が経過するにつれ黄変する。

花を三杯酢にして食べたり、乾燥させて茶に入れて香りをつける。果実を薬用とし、また,果実にカロチノイドの1種、クロシンが含まれ、乾燥させてきんとん、たくあん漬けなど食品の着色料に用いる。

発酵させると青色の染料にもなる。草木染にも用いる。

果実の水抽出物を打撲傷、捻挫に外用する。

クチナシの色素とカチオン系界面活性剤と組み合わせによる毛染め剤が考案されている。

クチナシ属の黄色色素の毒性はネズミを用いた試験で、発がん性等は認められず、安全であることが示されている。葉はオオスカシバの幼虫の食樹、イワカワシジミの幼虫はクチナシのつぼみや果実を餌とする。