科・属名

モクセイ科 Oleaceae

イボタノキ属 Ligustrum

学名

Ligustrum lucidum Ait.

英名

Wax tree privet (イボタノキ)、glossy privet

和名の由来

中国渡来のネズミモチ。果実がネズミの糞に似て、葉がモチノキに似ることに由来。

学名の由来

Ligustrumはイボタノキ属の1種の古名に由来。

イボタノキ属は広くヨーロッパ、北アフリカ、アジア、オーストラリアに原産する一般的植物。

Lucidum 強く光沢があるの意

木の特性

分布

中国中南部原産、明治初期に渡来

形態

常緑小高木。ネズミモチによく似るが全体に大きい。

樹皮は灰色、平滑、若木にいぼ状の皮目が目立つ。老木では縦に裂け目が出来できる。

葉は対生、卵形からだ円形、葉縁は全縁。ネズミモチより大きく、葉脈が目立つ。

花は6-7月に咲き、枝先に円錐花序が多数つき、ネズミモチより花序は大きく、淡黄色の花冠は4裂し先端が反り返る。雄しべ2は長く花冠から飛び出し、雌しべ1は短い。

果実は核果、初冬に黒紫色に熟し、表面は平滑、やや球形。

種子は8ミリ程度、縦に溝がある。

果実は朔果、長さ3㎝程度、先端に雌しべが宿存。

特性

果実にトリテルペン類のオレアノール酸、ウルソール酸、アセチルオレアノール酸、マンニトールなどを含む。果実は滋養強壮、葉には解熱、鎮痛作用がある。病害虫や郊外に強いので垣根などにされる。

生薬

生薬名

女貞実:神農本草経(中)はトウネズミモチ Ligustrum lucidum Ait.で同じ

使用部分

成熟果実

採集時期・方法

晩秋成熟した果実を採取、軽くいぶして、枝葉を取り除き、稍蒸すか、或いは直接、日干し乾燥。

撰品

肥大して、黒褐色を呈しているもの

主な薬用成分

oleoric acid、マントール、ブドウ糖

公定書

日本薬局方 ―

局外生規  ―

中共薬典  ―木犀科植物 女貞Ligsturum lucidum Act. 的乾燥成熟果実

薬性・薬味

辛 温

応用・利用

補肝腎・補陰・明目の作用を持ち、滋養強壮薬として腰膝痛・めまい・耳鳴り・動悸・不眠・しらが・視力減退・かすみ目などに使用する。

民間療法として、日本では葉を湿疹 かぶれ(入浴) 腫れもの(生の葉を水で柔らかくなるまで煮て、患部に貼る)に使用する。

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

庭園樹、公園樹。果実は生薬。 種子を多数付けることから、種子を栽培して街路樹、公園樹などに植栽する。都市部では種子の発芽率は高く、鳥などが散布し、おのれ生えが庭などによく見つかる。現在は要注意の外来種となっている。

果実は果実酒になるが、美味とは言えない。