科・属名
モクセイ科 Oleaceae
レンギョウ属 Forsythia
学名
Forsythia suspensa (Thunb.) Vahl
英名
Golden bell、 golden bell plant
和名の由来
漢名の「連翹」の音読み。
中国では「レンギョウ」はトモエソウかオトギリソウの意であったが、これらの果実が薬用に用いられていたため日本では誤用された。
学名の由来
Forsythiaはイギリス王立植物園の園芸家W. フォーサイスに因む。
Suspenseは枝が垂れ下がっていること。
木の特性
分布
中国原産。世界中で広く栽培。
形態
雌雄異株。
枝は半つる性で下垂する。枝は地面に接すると不定根を出し栄養繁殖する。茎は中空で薄い膜状の髄を持つ。
葉は対生。長さ10㎝、幅4㎝程度の長卵形。先は尖り、葉縁にまばらなきょ歯。秋に濃緑色、くすんだ黄緑色から紫色へと変化し、落葉する。
早春に葉より先に4弁の黄色の花を細い枝に多数付ける。がく片は花筒と同長。雄しべは2、雌しべ1は長い。
果実は朔果。種子には狭い翼がある。
特性
挿し木で増殖が可能。果実にオレアノール酸(トリテルペン)、フォルチシド(モノテルペン配糖体)、フォルチシドメチルエステル、アルクチイン(リグナン)、マタイレシノサイド、花にケルセチン、アスコルビン酸を含む。
グラム陰性菌の大腸菌、緑膿菌、チフス菌、グラム陽性菌のブドウ球菌、肺炎双球菌、百日咳桿菌などに抗菌作用。オレアノール酸には強い強心利尿作用。消炎、利尿、解毒に効果があり、吹出物、疥癬などの皮膚疾患、高血圧の予防に使用される。
生薬
生薬名
連翹 神農本草経(下)は Forsythia suspense (Thunb.)Vahlで同じ
使用部分
果実
採集時期・方法
秋、熟した果実を収穫し、一度蒸した蒸した後、日干しする。7~8月、果実のある全草を日干しにする。
色・味・香り
外面 淡褐色~暗褐色で淡灰色の小隆起点が散在。弱い匂いがあり、味は苦い。
撰品
軸がなく大きくて、香気強い、新鮮なもの
主な薬用成分
トリテルペノイド(betulinic acid)、リグナン(phillygenin)、エニルエタノイド配糖体(hydroyacetoside)、フラボノイド(rutin quercitrin)
公定書
日本薬局方 ―レンギョウFORSYTHIAE FRUCTUS
レンギョウForsythia suspense Vahl
またはシナレンギョウF.viridissima Lindley(Oleaceae)の果実
局外生薬規格―
木犀科植物 連翹Forsythia suspense (Thunb.)Vahl的
干燥果実
漢方例
清上防風湯(万病回春)、治頭瘡一方(本朝経験方)
薬性・薬味
苦 平
応用・利用
腫れもの、止血、に内服。薬用酒として、腫れもの・止血に服用。
その他
起原植物として、チョウセンレンギョウF.koreana Nakaiも使用されたことがあったが、現在市場性がない。
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
広く園芸樹として庭園などに植栽される。
一般に植栽されているのはレンギョウ、シナレンギョウ、チョウセンレンギョウなどでいずれも耐寒性、耐暑性が優れて折り、病害虫にも公害にも強い。
これら3種はよく似ているが、幹を縦割りすると、レンギョウは芽の出る部位以外は中空、シナレンギョウは芽の出る部位も含めて格子状の髄があり、チョウセンレンギョウは芽の出る部分以外で細かい梯子状の髄がある。またシナレンギョウは枝が直立する点で他の2種と異なる。
日本へは薬用に平安時代初期には渡来、8世紀の出雲風土記にも記載がある。
成熟した果実は抗菌作用があり、蒸してから天日で乾燥させて生薬とする