科・属名

モクレン科 Magnoliaceae

モクレン属 Magnolia

学名

Magnolia praecocissima Kodz.;Magnolia kobus auct.non DC.;Magnolia kobus DC.;

英名

Thurber’s magnolia、Kobushi magnolia

和名の由来

集合果の形状が人のにぎりこぶし状であることから。

学名の由来

Magnolia フランス、モンペリエ大植物学教授Magnol氏に因む。Kobus 和名に因む。「コブシ」は集合果の形を拳に見立てた。(Praeoccissima 花が早く咲くの意)。

木の特性

分布

日本(北海道、本州、四国、九州)、韓国済州島に自生。

形態

落葉高木。

樹皮は灰褐色で平滑。皮目がある。

葉は倒卵形、10㎝程度。葉の裏面は淡緑色。噛むと辛みがある。

早春、葉の展開前に、枝先に8㎝くらいの純白の花を咲かせる。花の基部に小さな葉をつけるので、タムシバと区別する。花弁とがく片の区別があり、がく片3は小さい。花べんは6、基部は紅色を帯びる。雄しべは多数。雌しべも多数。

花の終わったあとに花床が伸長し、袋果のあつまる曲がった集合果になる。長さ10㎝程度。種子は赤色、秋に熟すと袋果がさけ、種子は珠柄の維管束の白い糸で袋果本体からぶら下がる。

特性

樹皮、枝葉は精油を0.4~0.8%程度含み、コブシ油と呼ばれるが、現在は営業的な採取は行われてはいない。

その成分は、シトラール、αーピネン、シネオールなどのモノテルペン類、及びフェノール類のオイゲノールなどである。

また、白い花はフラボン系色素ルチンを含む。

材は辺心材ともに灰黄白色で軽く、柔らかく緻密で狂いが少ない。

生薬

生薬名

辛夷 神農本草経(上)は Magnolia kobus auct.で同じ

使用部分

採集時期・方法

冬末春初め 花がまだ開かない3月頃 、開花前の蕾を採取し、枝梗を除いて日陰で乾燥する。

色・味・香り

外面は黄緑色の長い柔らかい毛で密に被われ、内面は紫褐色。独特の香りがあり、味は辛涼で少し苦い。

撰品

灰褐色絹様の光沢ある毛を密生し、蕾が開かず、花柄の少ないもので、くだけば、芳香を発する乾燥した新鮮なもの。

主な薬用成分

精油(citral、eugenol,cineol、cinnamic aldehyde), アルカロイド(coclaurine), 有機酸

公定書

日本薬局方 ―

 局外生規  ―辛夷 タムシバMagnolia salociifolia Max.

           コブシM. kobus De candolle

              M.biondii Pampanini 

              又はその近縁植物のつぼみ

 中共薬典  木蘭科植物 望春花 M.biondii Pamp.

             玉蘭 M.dendata Desr.

         武当玉蘭  M.sprengeri Pamp.

           的乾燥花蕾

漢方例

辛夷清肺湯(外科正宗)、葛根湯加川きゅう辛夷(修琴堂方)

薬性・薬味

辛、温

応用・利用

発汗・鼻の孔を通じる要薬として、鼻づまり・鼻炎・蓄膿症・風邪による頭痛などに用いられる。

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

公園樹、庭園樹、街路樹などとして植栽され、大輪の白い花をつける。花は葉が開く前に咲き、無数の白い花で木が飾られる。コブシの花が咲いたのを目安に農作業を始める地方が多く、田打ち桜と呼ばれたりする。

「桜」の名が付くのは山中で遠くから見ると桜にも見えることによる。

樹皮が薬用となる。花蕾の水抽出物に骨格筋収縮作用、降圧、抗菌作用、興奮発散作用、鎮静作用がある。皮付きの丸太のまま床柱に利用され、また、まな板、製図版、楽器、下駄、彫刻材、版木、鉛筆材、塗り物木地、ろくろ細工に用いられる。炭は軟らかいので桐炭同様、金銀の研磨用に用いられる。

樹皮は煎じて茶の代わりに飲む。

民間薬の風邪薬にも使われる。