
科・属名
ボタン科 Paeoniaceae
ボタン属 Paeonia
学名
Paeonia suffruticosa Anderews
英名
Tree paeony、peony
和名の由来
中国名「牡丹」を音読みして「ぼたん」。
学名の由来
属名Paeoniaはギリシャ神話の医者の名前。種小名suffruticosaは亜低木を意味する。
木の特性
分布
中国陝西省の山岳地帯にのみ自生。
形態
落葉小低木。
高さ1-2㍍程度。葉は2回3出複葉、小葉には深い切れ込みがある。
晩春、若い枝の先端に20㎝程度の花を1個付ける。花は直径15㎝ほど、紅紫色、がく片は5で宿存性、花弁は5-10。雄しべも多数、雌しべは3-5、離生心皮。
果実は晩夏に結実、黒色の種子には稔性があり、赤い種子は不稔。
多数の観賞用品種がある。
特性
根皮はペオノール、ペオノライド、ペオノサイド、ペオニフロリン、オキシペオニフロリン、ベンゾイルペオニフロリン、ベンゾイルオキシペオニフロリン、カンペステロール、βーシトステロール、安息香酸を含む。
ペオノールは大腸菌、ブドウ球菌などに対して抗菌作用があるほか、抗炎症作用、中枢抑制作用がある。
ペオノールは血小板凝集抑制作用も有し、血栓性疾患に有効である。
花の赤色はペオニンによる。

生薬
生薬名
牡丹 神農本草経(下)はボタンPaeonia suffruticosa Anderewsで同じ
使用部分
根皮
採集時期・方法
苗から4~5年目の秋に根を掘り取り、木部(芯)を抜き取り、根皮を日干しにする。
色・味・香り
外面は暗褐色~帯紫褐色。内面は淡灰褐色~帯紫褐色。特異な匂いがあり、味はわずかに辛くて苦い。
撰品
芯がなく、香気の強いもの。
主な薬用成分
モノテルペン配糖体(paeoniflorin)フエノール類(paeonol)、タンニン類(catechin)、 糖類(sucrose)
公定書
日本薬局方 ―ボタンピ MOUTAN CORTEX
ボタン Paeonia suffruticosa Andrews(Paeonia moutan Sims)
(Paeoniaceae)の根皮
局外生規 ―
中共薬典 牡丹皮 毛りょう科植物 牡丹 Paeonia suffruticosa Andr.
的乾燥根皮
漢方例
桂枝茯苓丸(金)、大黄牡丹皮湯(金)、八地味地黄丸(金)、加味逍遥散(女科撮要)、きゅう帰調血飲(万病回春)
薬性・薬味
辛、寒
応用・利用
鎮痛・鎮静・消炎・通経・排膿作用があり、月経不順・月経困難・便秘・痔疾などを改善する薬方に配合される。
その他
花だけ見ると、芍薬と間違えやすい。シャクヤクは草で、ボタンは木である。
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
庭園用花木として好まれる。ボタンは中国原産でわが国には8世紀ごろに薬用植物として渡来。その後、多くの園芸品種が作出された。ボタンは別名、ハツカグサ、フカミグサ、ナトリグサとも呼ばれる。
古く平安時代の延喜、天暦の頃、当時の渤海国からもたらされ、薬用に用いられていた。フカミグサの名はそれに由来する。
生薬の牡丹皮は根の表皮。
古くから中国、日本、ヨーロッパなど各地で観賞用花木として多くの園芸品種がつくられた。花色も赤、紅紫、黄色、白などさまざまで、雄しべの弁化で花弁が重弁化したもの、秋から冬にかけて咲く寒牡丹などの品種がある。日本と中国ではそれぞれ異なる固有の品種群がつくり出されてきた。
枕草子で最初に日本文学の中に取り入れられ、江戸時代には俳句の初夏、夏の季語にもなった。
怪談の「牡丹灯篭」、歌舞伎の「怪異牡丹灯籠」は中国文学の「牡丹燈記」が原本である。
牡丹紋は家紋としては高貴なものであり、朝廷で関白を務めた近衛家が牛車に付ける車紋として最初に用い、京都東本願寺の真言大谷派の宗紋にもされた。これは近衛家の姫が幾たびか嫁いだことから使われるようになったものである。