科・属名

バラ科 Rosaceae

サクラ属 Prunus

学名

Prunus mume Sieb. et Zucc.

英名

Japanese apricot, Chinese plum, Japanese apricot,mume(日本語のウメから), mei(中国語のウメから)

和名の由来

中国名梅の音meiが転化した、朝鮮語のマイに由来、あるいは薬用として渡来した果実の燻製の烏梅(うばい)の呼び名に由来するとの説がある。

学名の由来

Prunus ラテン語のスモモ(plum)が語源。Mume 江戸時代の梅の呼び名ムメに由来。

木の特性

分布

中国南部、揚子江流域に自生。日本、朝鮮半島、台湾、ベトナムで栽培。

形態

落葉高木。樹高は10mにもなる。

若い枝は緑色、無毛。

葉はだ円形で先端が尖り、重きょ歯がある。

花は早春、葉に先立って咲く。通常は白色だが、紅色、淡紅色もある。花弁、がく片共に5、雄しべは多数で花弁より短い。雌しべは1で子房に密毛がある。

果実は核果、球形、表面に細網があり、片側に浅い溝がある。初夏に黄色に熟す。核は扁平なだ円形、表面は凹凸で被われる。

特性

果実は、オレアノール酸などのトリテルペンのほか、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸などの有機酸を含む。煎汁に抗菌作用がある。果実の酸味に収れん作用があり、鎮咳、解熱、整腸などの作用がある。

果実と葉にアミグダリンが含まれる。

アミグダリンは青酸配糖体で、地上に落ちると土壌微生物やエルムシンという酵素によって加水分解され、最終的にベンズアルデヒドと青酸になる。

ベンズアルデヒドはさらに酸化されて安息香酸となり、他の植物の成長を阻害するアレロパシーの原因となる。

花はベンズアルデヒド、ベンジルアルコール、イソオイゲノールベンジルベンゾエイト、安息香酸を含み、主たるにおいはベンズアルデヒドによるものである。

辺材は淡黄褐色、心材は紅褐色で、辺心材の境は明瞭。

年輪も明瞭で肌目は緻密。材の気乾比重は0.75~0.90で硬い。割れにくく耐朽性は高い。

生薬

生薬名

梅実 神農本草経(中)はウメPrunus mume Sieb. et Zucc.で同じ

使用部分

薫製した未熟果実(漢方薬では烏梅とい名称で通用している。)

採集時期・方法

5月に未熟果実を採取し、薫蒸して6割まで乾燥。軽くかき混ぜ、均一に乾燥後、2~3週間密封し、表面を黒変させる。

撰品

果肉が半乾きで潤いがあり、厚く酸味の強いもの

主な薬用成分

クエン酸、少量のリンゴ酸、酒石酸

漢方例

烏梅丸(傷)、人参養胃湯(和剤局方)

薬性・薬味

酸、平

応用・利用

止咳・止嘔・止渇・止瀉・駆虫の作用があり、口渇や悪心・慢性の下痢・回虫症による腹痛・咳嗽・煩熱などに用いる。

その他

烏梅から樹木の日本名ウメになったという。

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

ウメは果実を利用する実梅と花を観賞する目的の花梅がある。

梅は古くから改良され、鉢植え、盆栽、庭木などさまざま。古く中国から渡来し栽培され、栽培品種は300以上と言われている。

花を観賞用とし、庭園樹、公園樹、盆栽にされる。果実は塩漬けにして梅干しとして食用。江戸時代に各藩が非常食として梅干を作ることが、奨励され現在まで続いている。紀州の南高梅は味も品質も良いことから高級梅干しと評価されている。梅の実は6月の雨期に熟するので、つゆの頃を梅雨と言うようになった。諺で「梅は食べても実(さね)食うな、中に天神寝て御座る」と青酸配糖体を含む未熟の種子をたべないようにと諫めている。烏梅(うばい)は漢方薬の一つで、黄色に色づいた梅の実を煙でいぶしもの。

中国明代の医学書「本草綱目」を編纂した「李時珍」には烏梅の製法について「青梅を採って籠に盛り、籠突の上で黒く薫じる」と著している。

烏梅には有害な腸内細菌に対して抑制作用がある。民間薬としては、梅肉が口内や舌の荒れ、歯痛、梅の種は胃痛、歯痛、梅の花や皮を黒焼きにしたものが食中毒に効果があるとして使われてきた。

果実をむいて核を取り去り干したものが剥き梅(むきうめ)で、烏梅同様、媒染剤に使われていた。梅の木の樹皮は梅皮(うめかわ)と言い、染料に用いられていた。梅皮にハンノキの樹皮を混ぜて煎じたものも染料として使われていた。

中国では古来花と言えばウメであったことから、奈良時代に中国から持ち帰った頃は日本でもウメの花が尊ばれ万葉時代には花と言えばサクラではなくウメであった。

万葉集には百首以上のウメが読み込まれており、ウメを読んだ歌はハギに次いで多い。 「梅の花散らまく惜しみわが苑の竹の林に鶯鳴くも」(巻5)などである。

時代は下って、[拾遺和歌集]には菅原道真の「東風吹かば匂いおこせよ梅の花、あるじなしとて春なわすれそ」の歌があり、太宰府天満宮には、飛んで行って花を咲かせたと伝えらえる「飛梅(とびうめ)」がある。

材は器具材として利用。数珠にも使われるほか、そろばん玉、将棋の駒、箸、箱、工具の柄、漆器木地、ステッキ、三味線の胴、彫刻材に利用される。