科・属名

マメ科 Fabaceae

クララ属 Sophora

学名

Sophora japonica L.

英名

Japanese pagoda treeJapanese pagoda tree, umbrella tree,Chinese scholar tree

和名の由来

古い呼び名「えにす」から転じた。

学名の由来

Sophora アラビア語の蝶のようなの意。Japonica 日本の

木の特性

分布

中国北部原産。

仏教と共に薬木として日本に伝来。

形態

落葉高木。

樹皮は灰白色、縦に細かく裂け目ができる。若木には全体に皮目がある。

葉は奇数羽状複葉、落葉性の托葉がある。小葉は4-7対が対生か互生し、長さ4㎝ほど、卵形。葉の表面は深緑色、裏面は緑白色、短毛がある。

夏に開花、枝先に円錐花序を出し、白色の蝶形花を付ける。花は日没前に開花。雄しべ10、基部で合生する。雌しべ1は子房上位、有毛。

果実は豆果、種子の間に隔壁があり、先端は尖る。種子は1-8個。夏の終わりに熟す。

種子はだ円形、6㎜程度

特性

花蕾は、主成分としてルチンを含み、ほかにケルセチン、ケンペロール、ゲニスティン配糖体、トリテルペンのベチュリン、ソフォラディオールを含む。

ルチンには毛細血管補強作用、利尿、収斂作用がある。

花蕾には止血剤としての働きもある。

材は辺材が淡黄色、心材は暗褐色で、やや硬いが割りやすい。床柱として好まれる。

生薬

生薬名

槐実 神農本草経(上)はエンジュSophora japonica L.

使用部分

果実

採集時期・方法

夏に花蕾と花を摘み取り、日乾する

色・味・香り

槐花 黄緑色 匂いがわずかで、味がわずかに苦い。槐米 黄緑色 匂い僅かで、味はわずかに苦く渋い。槐角 黄緑色或いは黄褐色。匂いはわずかで、味は苦い。

撰品

軸がなく大きくて、香気強い、新鮮なもの

主な薬用成分

果実 ―,  花蕾 ルチン

公定書

日本薬局方 ―カイカ

  局外生規  ―

  中共薬典  槐花FLOS SOPHORAE

       豆科植物槐Sophora japonica L.的干燥花及花蕾

        槐角FRUCTUS SOPHORAE

         豆科植物槐Sophora japonica L.的干燥果実

漢方例

枸杞子として、枸菊地黄丸(地黄丸加味方)、地骨皮として、清心蓮子飲(和剤局方)

薬性・薬味

苦、寒

応用・利用

涼血、止血、明目作用があり、血便・痔出血・不正性器出血・こしけ・目の充血に用いられる

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

庭園樹、公園樹、街路樹、材は建築材、家具材、器具材に利用。春に新葉をゆでて苦みを除いて食用とし、乾燥させて茶の代用とする地方もある。樹皮や蕾は染料。花がまだ開かぬうちのつぼみを採り水に溶けてくる液で布や紙を黄色の染めたり、蕾を煎じた濃縮物を染色に用いる。

その色はフラボン系色素のルチンによるものだが、ルチンは民間で高血圧予防にも用いられる。エンジュの莢は石鹸代用としても使われる。

公害に強いため街路樹、庭園木として植栽。 花、蕾み、果実は薬用。蜜源植物として重要。

仏壇、細工材、彫刻材でエンジュとされるものは近縁種のイヌエンジュである。

漢字では「槐」。これは昔魔除けに槐をもちいて鬼を彫刻し、家の鬼門に置いた事から「木」扁に「鬼」とかいた。

「延寿」と書いて長寿や安産のお守りに使われ、難産の時、エンジュの枝を握らせると苦しまずに出産できるとされた。

漢名を「槐」(ふぁい)と言う。

中国では神聖木とされ出世のために縁起を担いで本種が植えられたという。これは古代中国で宮廷の庭に植えられた3本のエンジュ(槐)に向かって朝廷の最高位の官職である「三公」が座ったとの故事に基づく。そしてこの最高の官位を「槐位」(かいい)と称し、学問と権威の象徴とした。