科・属名
トウダイグサ科 Euphorbiaceae
ハズ属 Croton
学名
Croton tiglium L.
英名
Croton seed、Croton,Rushfoll, Purging croton
和名の由来
巴豆でハズ。中国名に基づく。
学名の由来
属名Crotonはトウゴマのギリシャ語で、ダニから来た語で種子が似ていることによる。種小名tigliumはモルッカ諸島ティグリス産を意味する。
木の特性
分布
熱帯アジア(インド、ニューギニア、ジャワ、インドネシア)、中国、フィリピン諸島に自生。
西インド諸島で広く栽培。
形態
常緑低木。
葉は葉柄があり、卵形、葉縁には僅かにきょ歯がある。
花は頂生し、総状花序にまばらにつく。単生花。雄花にはがく片5,それぞれに淡黄色の腺を持ち、花弁5、雄しべ10-20、花糸は細い。
雌花はがく片のみで花弁はない。無柄の心皮には星状毛を生じ、花柱は細い柱頭に続く。
子房は3室。
果実はさく果、種子が1個ずつ生じる。
特性
種子はクロトン酸、チグリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸のグリセリドを含む。
また、クロトノシド、クロトンアルブミンを含む。種子から得られるハズ油は毒性が強く、少量で強い下痢、皮膚の発赤を起こす。
材は白色で、木理は緻密。
生薬
生薬名
巴豆 神農本草経(下)はハズCroton tiglium L.で同じ
使用部分
種子
採集時期・方法
秋、熟した果実を収穫し、一度蒸した蒸した後、日干しする。7~8月、果実のある全草を日干しにする。
撰品
子実の皮と中身の間に隙間のない充実したもの。
主な薬用成分
脂肪油(クロトン油)
公定書
日本薬局方 ―
局外生規 ―
中共薬典 ―大戟科植物 巴豆 Croton tiglium L.的乾燥成熟果実
漢方例
走馬湯(金)、紫円(千金方)
薬性・薬味
辛、温
応用・利用
峻下・逐水作用があり、嘔吐剤・下剤として、便秘や腹痛・腹水などを改善する薬方に配合される。
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
別名ハズノキともいう。日本でクロトンと呼ばれる植物は近縁のクロトンノキ属でヘンヨウボクと呼ばれる観葉植物。
種子にハズ油などの物質を含み、薬用。
古代インドは自生地であるが、この薬効については未知であり、中国で最初に生薬として用いられたようである。
16世紀にヨーロッパに伝えられ、イギリスでは種子油が19世紀中頃まで街路用灯油として使われた。