科・属名

ミカン科 Rutaceae

カラタチ属 Poncirus

学名

Poncirus trifoliata (L.) Raf.

英名

Orange jasmine、hardy orange、trifoliate orange

和名の由来

唐から来た橘という意味。唐橘(からたちばな)が短縮されてカラタチ。果汁の利用価値が劣ることからゲス(下酢)またはゲスの別名もある。

学名の由来

Poncirus フランス語のponcire、即ちシトロンの1種の名前に基づく)Trifoliata 3葉の。

木の特性

分布

原産地は中国、長江上流。

日本へは8世紀ころに伝わった。

ミカン類のなかでは最も耐寒性が強く痩せ地でも育つ。

形態

落葉小高木。

枝は緑色、扁平で稜角があり、短枝の変化した鋭い刺がある。

葉は互生、3小葉で各小葉はだ円形、葉縁には細いきょ歯、葉柄には翼がある。

春、葉が展開する前に白色の花を開花、3㎝ほどの大きさ、花弁の5基部は徐々に細くなる。雄しべ多数は基部で合着。雌しべ1,合生心皮。

果実はミカン果、3㎝ほどの球形、初夏に緑色、秋に黄熟する。

果実は種子が多く、酸味、苦みがあり、生食には適さない。花も果実も芳香を出す。果実は落果が早い。 ミカン科の1属、1種。

特性

果実に配糖体のナリンギン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ボンギリンを含む。花はリモネン、カンフェン、リナロール、メチルアントラニレイト、エステル類を含むが、工業的採油は行われていない。

果実のフラボノイド配糖体ポンシリンには抗炎症作用がある。

カラタチ果実を含む漢方薬から抗ガン性を示す成分が単離されている。

生薬

生薬名

橘柚 枳実 神農本草経(上・中)はPoncirus trifoliate Rafinで同じ

使用部分

果皮、種子、幼果、中果皮の維管束群、葉

採集時期・方法

皮を日干する。

主な薬用成分

陳皮ー精油(limonene),フラボン配糖体(hesperidin naringin), (synephrine )  ペクチン,有機酸

公定書

日本薬局方 ―

局外生規  ―橘皮 タチバナCitrus tachibana Tanaka

       又はその他近縁植物の成熟した果皮

薬性・薬味

橘柚  辛 温 枳実  苦 寒

応用・利用

健胃・鎮咳・去痰・理気作用があり、食欲不振・嘔吐・咳嗽・去痰などに用いる。

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

果肉には精油を含み、果汁には酸味が強く、苦みもあり、食用とは成らない。

刺があるので生け垣に用いられる。果実は薬用。

実生の成長は早く結実期に達し、病気に強いことから生食用ミカン類の台木とされるが、ユズや夏ミカンの台木より寿命が短いのが欠点。

アゲハチョウの食樹。