科・属名
ミカン科 Rutaceae
サンショウ属 Zanthoxylum
学名
PZanthoxylum piperitum (L.)DC
英名
Japanese pepper, Japanese prickly ash
和名の由来
山椒(さんしょう)。椒は香ばしいの意。
別名ハジカミはサンショの古名であるが、ショウガが渡来するとハジカミと呼ばれたので、サンショウを「フサハジカミ」(果実が房状になる)「ナルハジカミ」(果実がなる)などと呼んで区別した。「かみ」はニラの古名「かみら」に基づくが、「辛い」の意がある。
学名の由来
Zanthol黄色の意。xylumは材の意。材が黄色ことから。Piperitum コショウのような。果実が辛い。
木の特性
分布
日本(北海道から屋久島)、朝鮮半島南部。
落葉樹林の傾斜地などで日当たりが良く、見津はけの良い、腐葉土の多い越えた地味の所を好む。
形態
落葉低木。雌雄異株。
樹皮は灰褐色、刺やコルク質のいぼ状突起がある。時には樹高5mにもなることがある。
若枝は緑色から赤褐色、鋭い刺が2個対生する。
葉は互生、奇数羽状複葉、長さ15㎝程。小葉は5-9対、だ円形、葉縁はのこぎり状きょ歯、葉裏は白緑色。
春に開花、枝先に直径5㍉ほどの黄緑色の花を多数つける。がく片と花弁の区別はない。雄花には花被片が5-9、雄しべは4-8。雌花の花被片は7-8、子房は2(-3)、花柱は離生。
果実は分果、5㎜ほどの球形で、夏の終わりころにできる。始めは緑色、晩秋に赤く熟す。
裂開する果実の中には黒い光沢のある種子1個がある。
本種はイヌザンショウに似るが、これは芳香がなく、刺が互生する点で区別する。
特性
果実はテルペン類のジペンテン、シトロネラール、リモネン、ゲラニオール、辛み成分としてαー、βーサンショウオール、サンショウアミド、けいれん毒を有するキサントトキシンのほか、キサントトキシン酸、タンニン、フラボノイドのヒペリンを含む。
材は辺心材ともに淡黄色から黄色を呈し、時に紅色を帯びている。辺心材の区別は不明瞭で、年輪もやや不明瞭。
肌目は緻密で、硬く粘りが強いので、杖、すりこぎなどに用いられる。気乾比重は0.7~0.8程度で折れにくい。
生薬
生薬名
蜀椒 神農本草経(下)はサンショウZanthoxilum piperitum DC.で同じ
使用部分
果皮
採集時期・方法
8月下旬、果実が黄色く、色ずきはじめ、あまり熟さない果実を摘み取り、陰干しして、果柄や種子を除いて、果皮だけを集める。 夏から秋、葉を採取し、日干しする。
色・味・香り
辛、 温
撰品
種子及び果柄などの異物が少なく、新鮮で香り強いもの。
主な薬用成分
精油 辛味成分 タンニン 色素(xanthoxylin)
公定書
日本薬局方 ―
局外生規 ―
中共薬典 ―
漢方例
山椒として、大建中湯(金)、当帰湯(千金方)
薬性・薬味
辛 温
応用・利用
熱薬。止痛・駆虫作用があり、消化不良・胃内停水・腹痛・嘔吐・咳嗽・関節痛・下痢・歯痛・陰部の痒み・回虫症などを改善する薬方に 配合される。
民間療法 日本ではねんざ 打ち身に生の葉をすりつぶし、患部に貼って、ガーゼをあてておく民間療法がある。
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
材は堅いので、すりこぎなどの器具材、果実を佃煮、果皮は粉末にして香辛料とする。
若葉, 若芽、花を食用にする。漆かぶれに果皮の煎汁を塗布するとよく、またひび、あかぎれには温湿布すると効果がある。若葉、若芽、花、果実を薬用に用いる。雄花は「花山椒」とされる。
果皮に含まれる成分のサンショオールは毒性があり、東北地方などで果皮を煮たものを川に流して魚を捕ることも行われた。また、宮沢賢治の「毒もみのすきな署長さん」にはサンショウの幹の皮を剥いでよくつき、木灰と混ぜて袋に入れて川の水のなかでもみだすと魚が浮いてくることが記されている。
アゲハチョウの食樹。