科・属名
ミカン科 Rutaceae
ゴシュユ属 TetradiumまたはEvodia
学名
Euodia rutaecarpa Bentham,異名 Tetradium ruticarpum (Juss.) T.G.Hartley
英名
Euodia, Evodia,Bee bee tree
和名の由来
漢名の呉茱萸(ごしゅゆ)をそのまま用いている。
学名の由来
Tetradium tetreは4の意。Ruticarpus rutiはヘンルーダ(オランダ語のミカン科のような)+ carpus果実。
木の特性
分布
国中-南部に自生。
江戸時代、亨保年間に渡来、日本では薬用として栽培。
形態
落葉小高木。雌雄異株。
葉は対生、長さ30㎝程度、奇数羽状複葉で5-9枚の小葉を付ける。葉縁は全縁。葉柄、葉軸に軟毛を生じる。
夏に緑白色の花を付ける。枝先に集散花序を付け、花序軸には褐色毛を密生する。がくは釣り鐘状で浅く5裂、小さい。花弁5枚、緑白色、長さ約4㎜。雄花には1㎜ほどの雄しべ5,中心に短毛が密生する花盤がある。雌花は小さい雄しべ4,雌しべ1がある。
果実は朔果、扁球形、赤く熟す。赤褐色で油腺があり、味は辛く、苦みがあり、特異な異臭をもつ。
種子はだ円形、光沢があり、黒色。
日本では雄株は希。
地下茎でよく繁殖する。この為日本では雌株が増えて今日に至り、花が咲いても種子を作らない。
特性
果実はインドールアルカロイドのエボジアミン、デヒドロエボジアミン、ルテカルピン、ヒゲナミン、エポカルビン、シネフリンのほか、ゴシュユ酸、モノテルペンのオシメン、苦味成分としてリモニンを含む。
果実の水抽出物中のセイネフリンはラット子宮のセロトニンによる収縮に拮抗する。ルテカルピン、デヒドロエボジアミンはラット子宮を収縮させる。
果実には気分を落ち着かせたり、痛みをとめたりする働きがある。
生薬
生薬名
呉茱萸 神農本草経(中)はゴシュユEvodia rutaecarpa Benthamで同じ
使用部分
未成熟果実
採集時期・方法
未熟果を急速に乾燥する。枝葉果梗などの雑質物を除く。
色・味・香り
外面は暗褐色~灰褐色。特異な匂いがあり、味は辛く、後に残留性の苦味がある。
撰品
なるべく軸が少なく、良く乾いていて、香の強いもの。
主な薬用成分
アルカロイド(evodiamine),精油(evodene limonin evodol),Cyclic GMP
公定書
日本薬局方 ゴシュユ EVODIAE FRUCTUS
ゴシュユEvodia rutaecarpa Bentham又は
E.officinalis Dode(Rutaceae)の果実
局外生規 ―
中共薬典 呉茱萸FRUCTUS EVODIAE
芸香科植物呉茱萸Evodia rutaecarpa Bentham 或
石虎Evodia rutaecarpa Bentham var.bodineeri(Dode)Huang
的乾燥近成熟果実
漢方例
呉茱萸湯(傷)、温経湯(金)
薬性・薬味
辛、温
応用・利用
散寒・止痛・止嘔作用があり、嘔吐・頭痛・腹痛などを改善する薬方に配合される
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
江戸時代享保年間に日本に渡来して、薬木として各地に植栽された。
葉、未熟や成熟果実を生薬とする。からだを温める働きがあり、浴湯料として用いられる。