科・属名
ミカン科
キハダ属
学名
Phellodendron amurense Rupr.
英名
Amur corktree
和名の由来
樹皮の内側は鮮やかな黄色であることから。
学名の由来
Phellodendron phellos コルク質の+ dendron 樹木。Amurense アムール川流域の。
木の特性
分布
日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮半島、中国(北部、東北)、アムール川、ウスリー川流域。
日本各地の落葉樹林帯に自生。
形態
落葉高木。雌雄異株。
外樹皮は淡黄灰色、その内側の厚いコルク質は淡黄色。コルク質の内側の層も鮮黄色。コルク質が盛り上がり、縦に割れ目が入り凹凸が目立つ。樹皮の様子は成長に伴って変化する。若い枝は無毛。
葉は対生、20㎝前後、奇数羽状複葉、小葉は5-10でだ円形。
初夏にかけて散房花序に黄色の花を付ける。がく片5,花弁5。雄花には雄しべ5、退化した雌しべ。雌花には退化した雄しべと雌しべ1。子房は5室。
果実は液果、1㎝の球形、始めは緑色、熟すと黒色。精油を多く含み、固有の臭いがある。
特性
樹皮はアルカロイドのベルベリンのほか、パルマチン、マグノフロリン、グアニジン、フェロデンドリン、メニスベリン、苦味物質としてオバキュノン、リモニンを含む。ベルベリンは強い抗菌作用を持つ。
辺材は灰白色心材は灰黄色で気乾比重は0.47。狂いが少なく硬く、加工性がよく、光沢が美しい。机、書棚、洋箪笥などに用いられる。
生薬
生薬名
蘗木 黄柏,キハダ Phellodendron amurense Ruprecht 神農本草経(中)も同じ
使用部分
樹皮
採集時期・方法
6~7月(特に夏至前後)樹皮をはぎとり、コルク層を取り除く。中に有る内皮の黄色い部分を日干しにして乾燥させる。
色・味・香り
弱いにおいがあり、味は極めて苦く、粘液性で、だ液を黄色に染める。
撰品
厚みがあって、鮮黄色で苦いもの。
主な薬用成分
アルカォイド(berberine) 苦味成分(obakunone) ステロール(sitosterol)
公定書
日本薬局方 ―42.キハダ Phellodendron amurense Ruprecht
又はP.chinense Schneiderの周皮を除いた樹皮である。
局外生規:―
中共薬典 芸香科植物 黄皮樹(川黄柏)Phellodendron chinense Schneid.或
黄蘗(関黄柏)Phellodendron amurense Rupr.的乾燥樹皮―
漢方例
黄連解毒湯(外台秘要)、白頭翁湯(傷)
薬性・薬味
苦、寒
応用・利用
消炎・健胃・整腸・抗菌の作用を持ち、止瀉・消炎の要薬
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
地方によっては「きわだ」と呼ぶ。
は樹皮からの外樹皮、コルク質を用いる。主な薬効成分はベルベリン。正露丸などの胃腸薬に利用されている。売薬「陀羅尼助」は42.キハダの樹皮にアオキの葉を加えて水で煮出した汁を煮詰めた水性エキスで、おなかの痛みどめや洗眼に使われる。
アイヌは熟した果実を香辛料とした。熟した果実は、甘くて苦いが、果実酒とする。
樹皮は黄蘗色(きはだいろ)という黄色の染料とした。
カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハの食樹。