科・属名

ミカン科 Rutaceae

ミヤマシキミ属 Skimmia

学名

Skimmia japonica Thunb.

英名

Golden bell、 golden bell plant

和名の由来

葉がシキミに似て、山に自生する。自生地は深山とは限らない。「アシキミ」の「ア」が取れてシキミとなったともいわれる。

学名の由来

Skimmia 和名「シキミ」に基づく。Japonica 日本の。

木の特性

分布

日本(本州の関東以西、四国、九州)。台湾に分布

低山の林床に生える。

形態

常緑低木。雌雄異株。

ミカン科であるが、茎には刺がない。

幹は直生し、まばらに分枝する。若い枝は緑色、古くなると灰色。

葉は互生、長だ円形、葉縁は全縁、表面は光沢があり、茎の先端部位に集まる。油点がある。葉にはアルカロイドがあり有毒、鹿など草食動物も食べない。

花は春に枝先に円錐花序をつける。花の直径は1㎝、白色の花弁は4(-5)、まばらに油点。雄花には雄しべ4、退化した雌しべ1。

雌花は雄花に比べて数が少なく、雌しべ1の柱頭は浅く5裂し、退化雄しべが4。

花には芳香がある。

果実は秋から翌春にかけて熟し、核果、赤色、有毒。

種子は1個。

特性

有毒植物。葉はアルカロイドのスキミアニン、スキミンを含む。殺虫作用があり、農業用殺虫剤として用いられる。

誤って食べれば嘔吐、下痢、手足のまひ、けいれんが起こる。

生薬

生薬名

茵芋 神農本草経(下)は黄山桂 Skimmia reevesiana Fortune

使用部分

茎、葉

採集時期・方法

年間を通じて、採取がで、き日干しにする。

色・味・香り

外面 淡褐色~暗褐色で淡灰色の小隆起点が散在。弱い匂いがあり、味は苦い。

撰品

軸がなく大きくて、香気強い、新鮮なもの

主な薬用成分

トリテルペノイド(betulinic acid)、リグナン(phillygenin)、エニルエタノイド配糖体(hydroyacetoside)、フラボノイド(rutin quercitrin)

公定書

日本薬局方 ―

  局外生規  ―

  中共薬典  ―

漢方例

清上防風湯(万病回春)、治頭瘡一方(本朝経験方)

薬性・薬味

苦、温

応用・利用

去風湿・止痛の作用があり、関節痛・下腹萎弱に用いる。

その他

大量に服用すると、血圧低下・心臓麻痺を引き起こし、死亡することがある。

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

冬に果実が赤いので観賞用とする。

縁起ものの植物として正月などに飾られるものに「○○両」と呼ばれるものがあるが、全て冬に赤い果実を付ける。本種は「億両」と呼ばれる。

因みに「一両」はアカネ科、アリドウシ属、ツルアリドオシ。

「十両」はヤブコウジ科、ヤブコウジ属、ヤブコウジ。

「百両」はヤブコウジ科、ヤブコウジ属、カラタチバナ。

「千両」はセンリョウ科センリョウ属、センリョウ。

「万両」はヤブコウジ科、ヤブコウジ属、マンリョウ。