科・属名
センダン科 Meliaceae
センダン属 Melia
学名
Melia azedarach L.(var.subtripinnataMiq. 狭義)
英名
China berry, White cedar, bead-tree, cape lilac, Persian lilac, Indian lilac
和名の由来
栴檀 の漢名。
学名の由来
Melia ギリシャ語のトネリコ、Azedarach 毒の木の意。
木の特性
分布
アジア各地の熱帯、亜熱帯に自生。日本では四国、九州、沖縄に分布。
温暖な地の海岸、林縁に生育。
形態
落葉高木。
若い樹皮は紫褐色、小さなだ円形の横斑が点在。太い幹の樹皮は縦の割け目が目立つ。
葉は奇数2-3回羽状複葉、互生、長さは50㎝以上。小葉は薄く、だ円形、浅いきょ歯がある。
初夏に若枝の葉腋に淡紫色の5弁の花を円錐状に付ける。雄しべは10、基部は合着して筒状となる。雌しべは1、雄しべの筒内にある。
果実は2㎝、だ円形の核果、晩秋に黄褐色に熟す。葉が落葉した後も枝に残る。果実の果肉は薄く、種子が大きい。種子は5-8個。それぞれにの表面に5本の溝がある。
家畜や人間が食べると中毒し、多量だと死に至る。
特性
樹皮はタンニン、苦味物質のマルゴシン、アスカロール、クマリン誘導体のバニリン酸、のほか、カテコール、トーセンダン、センダニン、メリアノン、メリアノールを含む。果実はオレイン酸、パルミチン酸、リノレン酸、ステアリン酸、メルデニン、ニンビニンを含む。
樹皮は強い殺虫作用をもち、回虫駆除の用いるが副作用もある。辺材は黄白色、心材は鮮黄褐色で、木肌は粗いが、硬く割りやすい。
材の気乾比重は0.45~0.75程度である。
生薬
生薬名
楝実 神農本草経(下)はトウセンダンMelia azedarach var. toosendan
使用部分
果実、幹
採集時期・方法
秋に黄熟した果肉を生のまま用いる。幹皮は細かく刻んで日干しにする。
主な薬用成分
melianone azaridine
公定書
日本薬局方 ―
局外生規 ―
中共薬典 ―
薬性・薬味
苦、寒
応用・利用
ひび・あかぎれ・しもやけに果肉をすりつぶして、患部に塗る。幹皮は虫下し・条虫駆除に使用する。理気・止痛・駆虫の作用があり、腹痛に用いられる。
その他
根皮には toosendamin margosineを含有する。
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
「センダンは双葉より芳し」のセンダンは白檀(ビャクダン)(Santalum album L.)を指し、白檀は発芽時から芳香を発することから、優れた人物は幼時から優れていることを示すものであるが、このセンダン(M.Azedarach)とは異なる樹種である。
観賞用、街路樹など。樹皮、葉、果実は生薬。硬いが割りやすい材質を利用して腰板などの建築材、洋箪笥、机、いすなどの家具類、木魚、ラケットの柄などの運動具、琵琶の胴、下駄、寄木などに利用される。
種子は数珠珠に用いる。ひび、しもやけに生の果肉をつぶして患部に塗布すると効果がある。センダンは古い時代に罪人をさらし首にかけた樹であったことから、縁起の悪い木として庭木として植えるのを避ける風習のある地域もある。なぜ、センダンを使ったかについては、センダンに厄払いの呪術的な意味があったのではないかとの説がある。
センダンは古くはオウチ(またはアフチ)と呼ばれており、万葉集にも数種の歌が載せられている。「妹が見し楝(アフチ)の花は散りぬべし我が泣く涙いまだ干なくに」は山上憶良の作である。