科・属名
マメ科
ネムノキ属
学名
Albizzia julibrissin Durazz.
英名
Silk tree, silk flower, pink siris, Persian silk tree, Pink siris, Lenkoran acacia, Bbastard tamarind, Mimosa
和名の由来
対になっている小葉が夜になると合わさり睡眠をする形なることに由来する。
学名の由来
Albizzia 18世紀にネムノキをヨーロッパに紹介したイタリア人Albizzi氏の名に因む。Julibrissin 東インドの地名。
木の特性
分布
中国、台湾、朝鮮半島、南アジアに分布。
日本では本州、四国、九州にある。
形態
落葉高木。
樹皮は灰緑色、老木になると縦の割れ目が出来る。枝はなめらかで横に広がる。
葉は偶数2回羽状複葉、30㎝、羽片は6-12対。小葉は長だ円形、18-29対、長さ10㎝ほど。葉は夜間と降雨の時に小葉を畳んで閉じて下を向く(オジギソウは触ると閉じる)。
花は葉腋から生じた花序軸の先端に集まって密に咲く。日没前に開花し、一日花だが、次々に夏の間ずっと咲き続ける。
花弁は小さく、基部は合着する。がく片は3㎜で筒状。3㎝ほどの長さの雄しべが多数集まり、花糸の先端は薄紅色、基部は白色、絹糸状に見える。
雌しべは1、白色で雄しべより長い。
果実は扁平で茶色の豆果、20㎝程度。
種子は数個が出来る。
花に来訪するのは甲虫、蝶など。
特性
樹皮はタンニン、トリテルペン配糖体juribrosideA1~A4, B1, C1, Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、葉はケルセチン、ビタミンC、種子にアルビジンを含む。樹皮の煎汁には陣痛促進作用がある。黒焼きを飲むとめまいに効果があると言われている。
辺材は黄白色、心材は暗黄褐色~淡褐色で、木理が荒く、軟らかく粘りが強い。材の気乾比重は0.5~0.6程度で、やや軽く軟らかである。
生薬
生薬名
合歓 神農本草経(中)もネムノキAlbizia julibrissin Durazzで同じ
使用部分
樹皮、花
採集時期・方法
樹皮 7月から8月頃、樹皮を採取し、日干しする。花 夏、開花した花を晴天の日に取り、時に及んで、晒乾する。
色・味・香り
外面 淡褐色~暗褐色で淡灰色の小隆起点が散在。弱い匂いがあり、味は苦い。
撰品
樹皮 なるたけ大きい破片。
主な薬用成分
樹皮 サポニン、タンニン
公定書
日本薬局方 ―
局外生規 ―
漢方製剤 ―
中共薬典 ―豆科植物合歓 Albizia julibrissin Durazz.的乾燥樹皮
アーユルヴェダー―
漢方例
清上防風湯(万病回春)、治頭瘡一方(本朝経験方)
薬性・薬味
甘、平
応用・利用
解鬱・消腫・止痛の作用があり、うつや怒り・不眠・不安・焦燥などを改善する薬方に配合される。
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
庭園樹、公園樹、街路樹、日よけ樹として植栽。材は建築材、器具材として利用。葉は抹香に使われる。また生葉をついて洗濯に使われていた。
は屋根板、机、桶類、箱類、斧・鎌の柄、下駄などに利用する。木はやせ地の肥料木として植えられたり、また、葉は馬や牛の飼料ともされた。種子や樹皮は薬用。
昔は仏壇に供えるお香の材料としてカツラと共に本種の葉が使われた。
蜜源植物として昆虫が利用。
種子は非常食用とされる。
条件の良くない環境でも育つので日本や北米などでは侵略的有害植物となりつつあるが、ヨーロッパの各国では広く植栽されている。