科・属名

クロウメモドキ科 Rhamnaceae

ナツメ属 Ziziphus

学名

Ziziphus jububa Mill.

英名

Jujube, Chinese date、Common jujubi

和名の由来

芽立ちが遅く、夏になって芽が出ることによる。夏芽。

学名の由来

Ziziphus アラビア名のzizionfがギリシャ語になりziphonの成ったもの。Jujuba ナツメのアラビア名。

木の特性

分布

中国、西アジア原産とされるが、正確な原産地ははっきりしない。

これは本種が古くから各地で栽培されていた事による。日本へは古い時代に中国を経て渡来。

万葉集にも詠まれていることから渡来は奈良時代以前か。

形態

落葉高木。

樹皮は灰黒色、太くなると縦に割ける。若い枝は褐紫色

側枝は時に同じ節から数本が出る。

葉は互生、長さ4㎝ほど、光沢があり三行脈が目立つ。葉の基部に鋭い刺があるのはサネブトナツメ。葉縁には鈍きょ歯がある。

花は初夏、淡黄色で小さい。がく片5,花弁5,雄しべ5、雌しべ1。

果実は長だ円形の核果、晩秋に暗紅色に熟す。

種子2個を含む。

特性

果実はオレアノール酸、オレアノン酸、マスリニン酸、ベチュリン酸、チチフサポニンⅠ、Ⅱ、Ⅲ、ジュジュボシドB,チチベオシドⅠ、Ⅱを含む。

辺材は帯緑黄白色、心材は褐色で、年輪は不明瞭。木理はほぼ通直で肌目は極めて精で光沢は無い。

生薬

生薬名

大棗 神農本草経(上)はナツメZizyphus jujube Millで同じ

使用部分

果実

採集時期・方法

秋果実が成熟した時、狭雑物を取り、日干しする。または皮が柔らかくなるまであぶり、再度乾燥する。

色・味・香り

外面 淡褐色~暗褐色で淡灰色の小隆起点が散在。弱い匂いがあり、味は苦い。

撰品

新鮮で肥大し、うるおいがあり、甘みが強いものが良い。

主な薬用成分

isoquinoline トリテルペノイド化合物、zizyphusサポニンⅠ、Ⅱ、多量の糖分、中性・酸性多糖類。

公定書

日本薬局方 本品はナツメ Zizyphus jujube Mill

          var.inermis rehderの果実である。

  局外生規 ―

  中共薬典 鼠李科植物 棗Zizyphus jujube Mill.的乾燥成熟果実

漢方例

甘草麦大棗湯(金)、苓桂甘棗湯(傷)

薬性・薬味

甘、温

応用・利用

気力を増し、津液を生じ,営衛を調える。食欲不振・倦怠感・ヒステリー・ぜんそくを改善する。

その他

中国各地で栽培

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

果実や生薬とされる。台湾では緑色のまま果物として食す。

果実は生食、ジャム原料、ナツメ茶、薬膳料理などに使われる。

木の葉を噛むと葉に含まれるジジフィンが舌の甘味センサーをブロックして甘味を感じなくなる。

果実、種子は薬用。強壮、利尿に用い、核には鎮痛、鎮静作用があり、不眠症に用いると効果を発揮する。

観賞用の庭木、街路樹などに植栽。

茶器の棗は果実の形を模した。

果実は「桃、栗3年、杏は4年、梨は5年、棗はその年、金になる」と言われ、経営上有利な果物として重んじられた。この為多くの改良種がつくられた。

果実の味はリンゴに似る。