科・属名
ジンチョウゲ科 Thymelaceae
ガンピ属 Diplomorpha
学名
Diplomorpha trichotoma (Tunb.) Nakai
英名
Ki-ganpi
和名の由来
古くから樹皮が紙になるので紙斐(かみひ)と呼ばれていた。カミヒ、カニヒ、ガンピ(雁皮)へと変化した。キガンピ(黄ガンピ)で花の色に基づく
学名の由来
Diplomorpha diplo 二重の+morpha 形。Trichotoma 3分岐の意で枝が3つに分岐することによる。
木の特性
分布
日本(本州の近畿以西、四国、九州),朝鮮半島南部。
日当たりの良い、低山、丘陵地、岩場などの痩せ地に生育。
形態
落葉低木。
樹高1mくらい。樹皮は始め緑色、後に褐色-紫褐色となる。
枝は良く分枝し、当年枝は無毛、赤みを帯びる。2年目以降の枝は灰色。葉腋より少し離れた上方から対生(ガンピは互生)、樹皮の繊維は強くちぎれにくい。
葉は対生、僅かに有柄、だ円形、全縁、長さ4㎝ほど、全体が柔らかく、裏面は白色、両面は無毛。葉身の裏面の羽状脈は盛り上がる。葉は秋に黄食に色づく。
花は晩夏に咲く。当年枝の先にあつまり、長さ7㎜程度、黄白色の筒状花が10個ほどつく。がく筒の先が4裂し、花弁は無い。雄しべ8,雌しべ1。花柄は短い。
果実は紡錘形の核果。
種子は2㎜程度。
生薬
生薬名
蕘華 神農本草経(下)は キコガンピ Diiploomorpha trichotoma (Thnb.)Nakai
使用部分
花蕾
採集時期・方法
秋果実が成熟した時、狭雑物を取り、日干しする。または皮が柔らかくなるまであぶり、再度乾燥する。
色・味・香り
5~6月の花期に採取。
撰品
新鮮で肥大し、うるおいがあり、甘みが強いものが良い。
主な薬用成分
isoquinoline トリテルペノイド化合物、zizyphusサポニンⅠ、Ⅱ、多量の糖分、中性・酸性多糖類。
公定書
日本薬局方 ―
局外生規 ―
中共薬典 ―
漢方例
甘草麦大棗湯(金)、苓桂甘棗湯(傷)
薬性・薬味
苦、辛
応用・利用
利水・消腫の作用があり、留飲・咳逆上気・水腫・などの症状を改善する。薬方に用いる。
その他
中国の湖南・湖北・陝西・江西・雲南 各省で栽培されている。
ジンチョウゲ科 蕘花 Wikstroemia cunescens Meissn 根を山皮条という。
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
樹皮は繊維が強靱、和紙(雁皮紙)の原料になる。別種で葉が互生のコガンピは和紙にはならない。
紙質は滑らか、緻密、半透明で光沢があり、虫害、水にも強く、耐久性もある。
日本固有種であるが、全国の自生地で林道開発、森林伐採のため絶滅危惧種となっている。
栽培が困難なため製紙用には野生のものを用いる。