科・属名

ミズキ科 Cornaceae

ミズキ属 Cornus

学名

Cornus officinalis Sieb. et Zucc.

英名

Japanese cornel, Japanese cornelian cherry , Cornelian cherries

和名の由来

漢名の山茱萸の日本語読みがサンシュユ。萸はグミの事で、秋にみのる果実がグミに似る。尚、茱萸は中国ではサンショの意。グミは赤い果実を付ける木の総称。

学名の由来

Cornus 角(つの)が語源、材質が硬いことに由来。Officinalis 薬効があるの意。

木の特性

分布

中国、朝鮮半島に自生。

江戸時代、亨保年間に朝鮮半島から薬用植物として種子が持ち込まれた。

形態

落葉小高木。高さ5mほど。

樹皮は淡褐色。

葉は対生、長さ10㎝ほど、長だ円形、両面とも有毛。羽状に走る葉脈が目立つ。

若葉の展開する前にの早春に散形花序を付け、総包片4に包まれる。

花は両性花、時に雄性花のみ、がく片4,花弁4,共に鮮黄色。雄しべ4、雌しべ1。雄性花の雌しべは不稔。

晩秋に紅色、だ円形の液果を付ける。長さ1.5㎝程度。

中に1個の種子。

特性

果実は、没食子酸、酒石酸、リンゴ酸、ウルソール酸、モロニサイド、メチルモロニサイド、ロガニン、スウエロサイド、デヒドロモロニアグリコン、5,5-ジーαーフラルデヒドジメチルエーテル、5-ヒドロキシメチルフルフラール、7-デヒドロロガニンを含む。

煎汁は利尿作用、降圧作用、抗菌作用を持つ。

材は黄褐色で重くて硬い。

材の気乾比重は0.75程度。

木理が緻密で強固だが、材はあまり利用されていない。

生薬

生薬名

山茱萸 神農本草経(中)はサンシュユCornus officinalis Sieb.etZUCC.で同じ

使用部分

果肉

採集時期・方法

秋末から冬初め、果皮が赤く成熟した果実を熱湯に通し、種子を除き、日干しする。

色・味・香り

外面は暗赤紫色~暗紫色。弱い匂いがあり、酸味があって、僅かに甘い。

撰品

種子がなく果肉ばかりで、紫黒色を呈し、甘ずっぱいもの。

主な薬用成分

イリドイド配糖体(morroniside loganin),トリテルペノイド(ursolic acid )      サポニン(cornin), タンニン(tellimagrandinⅠ・Ⅱ), 有機酸(tartaric acid)

公定書

日本薬局方 ―

 局外生規 ―

 中共薬典 ―山茱萸科植物 山茱萸 Cornus officinalis Sieb et zucc

       .的乾燥成熟果肉

漢方例

八味地黄丸(金)、六味丸(小児直訣)

薬性・薬味

酸、平

応用・利用

滋養・強壮・収斂・止血・の作用があり、足腰の痛み・めまい・性機能低下など、また汗が出過ぎる時・頻尿・夜尿などを改善する薬方に配合される。

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

わが国には江戸時代享保年間に渡来した。鑑賞樹、街路樹として植栽されていて、早春に花開く。

果実の果肉は生薬。滋養、強壮、収斂などの作用があり、八味地黄丸などに利用される。果実を酒に入れて果実酒としても利用される。