科・属名
ヒノキ科 Cuppressaceae
コノテガシワ属 Pladycaldus
学名
Thuja orientalis L. あるいは、Platycladus orientalis (L.) Franco, Biota orientalis Endl.
英名
Chinese arborv-itae, blota, oriental thuja、Bookleaf pine, Oriental Arbor-vitae
和名の由来
枝が直立する様子は子どもが手の平を上げている姿に似る。「児の手柏」である。
学名の由来
Platycladus ギリシャ語 広い茎を持つ。Orientalis 東洋の。
木の特性
分布
朝鮮半島、中国東北部が原産。
日本には江戸時代に中国から渡来。その後鑑賞樹としてヨーロッパなど世界中でも植栽。乾燥にやや弱い。充分な灌水が必要。
形態
常緑針葉高木。雌雄同株。
原産地では樹高が20mにも届くものがあるが、日本ではせいぜい10m程度の小高木である。
枝はほぼ直立し、枝葉は間延びしてヒノキに似る。通常葉の裏にある白色の気孔帶が白色ではないので、葉の表裏の区別が無いように見える(ヒノキ属では裏表の別がある)。
通常市販されているのはセンジュという園芸品種で、コノテガシワそのものは植物園、樹木園以外ではあまり見かけない。
葉は卵形、十字対生、うろこ状、2㎜ほど。
葉は1年目には緑色、2年目は褐色、3年目に落葉する。
春に開花、単生して枝先につく。雌花は白緑色、卵円形、種鱗の先端は外に反り返る。雄花は黄褐色で球形。
球果は角張って、固有な形状、淡青緑色。秋に熟すと褐色になる。
球果には種子が4個、だ円形、黒褐色。種子には翼がない。
特性
葉はα―ピネン、ツヨン、フェンコンなどのモノテルペン、カリオフィレンなどのセスキテル炭化水素、カジノールなどのセスキテルペンアルコール類のほか、フラボン類も含む。
生薬
生薬名
柏実 神農本草経(上)はコノテガシワThuja orientalis L.で同じ
使用部分
種仁
採集時期・方法
秋、裂ける前の球果を採取し、たたいて種子を取りだし、種鱗と種皮を石臼で挽いてとりさり、種子だけ集めて陰干しにする。
色・味・香り
淡黄褐色。
撰品
肥厚し、大形のもの。
主な薬用成分
油脂 サポニン
公定書
日本薬局方 ―
局外生規 ―
中共薬典 ―
薬性・薬味
甘、平
応用・利用
滋養強壮(乾燥した種子をフライパンなどで、軽く炒ってからすり潰し、1日量5~15gを3回に分けて分服する。
心血の不足による動悸・不眠・多夢・身体衰弱・便秘・抜け毛に用いる。民間療法として、葉を血便 月経過多 吐血 喀血などの止血に使用。樹枝及びコルク層を除く根皮も薬用にする。
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
庭園樹、公園樹、生垣として植栽されている。若い枝、種子を生薬とする。
「カシワ」は「炊ぐ葉(かぐは)」の意があり、煮炊きした料理を盛りつける葉のことである。古くはコノテガシワの葉はブナ科のカシワなどと共に料理を供する皿として用いた。