
科・属名
モクレン科 Magnoliaceae
モクレン属 Magnolia
学名
Magnolia obovata Thunb.
英名
Japanese big leaved Magnolia、Japanese Whitebark Magnolia
和名の由来
万葉の時代には「ホオガシワ」と呼ばれていた。ホホとは冬芽の「ほほむ」(包まれる形)に由来。カシワは「炊ぐ葉」(かしぐは)で、古来より食べ物をのせる葉を指す。
学名の由来
Magnolia フランス、モンペリエ大の植物学者Magnol氏に因む Obovata 倒卵形を意味する。
木の特性
分布
日本全土の亜高山帯以下の標高の山地、千島列島に自生。
形態
落葉高木。
樹枝は灰白色、裂け目を生じない。葉は大きく、長さ20㎝以上、葉柄は4㎝程度で葉の大きさに比べて短い。倒卵形で表面は緑色、裏面は白粉をふき、互生して枝先に束生するので輪生に見える。
6月ころに枝先に白い大きな花を付け、上に向かって開花。花被片は多数あり、らせん状に配列する。がく片と花弁の区別は無い。雄しべ、雌しべは多数、花床にらせん状に配列。 果実は袋果で、各果には1-2個の種子ができる
特性
樹皮にセスキテルペンのαー、βー、γーオイデスモール、セリネノール、リグナン類のマグノロール、ホオノキオール、アルカロイドのマグノクラリン、マグノフロリン、リリオデニン、アノナインを含む。
マグノフロリン、マグノクラリンに骨格筋弛緩作用、アドレナリン増強作用が認められている。
エーテル抽出物に中枢抑制作用、筋弛緩作用がある。
辺材は灰白色ないし黄灰色、心材は暗灰緑色~暗緑褐色。気乾比重約0.5で、やや軽く軟らかい。加工性がよい。

生薬
生薬名
厚朴 神農本草経(中)は Magnolia officinalis Rehder et Wilsonで同じ
使用部分
樹皮
採集時期・方法
夏に樹皮を剥ぎ乾燥。
色・味・香り
外面 灰白色~灰褐色。内面は淡褐色~暗紫褐色。弱い匂いがあり、味は苦い。
撰品
新鮮で厚みがあり、充実して堅くなく、香が良く、味が苦く辛いもの。
主な薬用成分
精油(eudesmol pinene),アルカロイド(magnocurarine), ジフエニル化合物(magnolol honokio-l)
公定書
日本薬局方 コウボク MAGNOLIAE CORTEX
ホウノキ Magnolia obovata Thunberg.
M.officinalis Rehder et Wilson
又はM.officinalis Rehder et Wilson var.biloba
Rehder et Wilson (Magnoliaceae)の樹皮
局外生規 ―
中共薬典 厚朴CORTEX MAGNOLIAE
木蘭科植物厚朴Magnolia officinalis Rehder et Wilson 或
凹葉厚朴M.officinalis Rehder et Wilson var.biloba
Rehder et Wilson 的樹皮
厚朴花FLOS M.OFFICINALIS(上記厚朴の花)
漢方例
半夏厚朴湯(金)、小承気湯(傷・金)
薬性・薬味
苦、温
応用・利用
健胃・消化・整腸・収斂・鎮静・去痰・利尿の作用があり、腹部膨満感・消化不良・気鬱・などを改善する薬方に配合される。
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
材は加工性がよいので、建築造作材、家具、細工物、彫刻材、朴歯下駄、器具材として利用される。水に強く手触りも良いのでまな板、樹脂などが少ないので日本刀の鞘などに用いられた。木炭は金銀や漆器の研磨に使われる。
大輪の白い花を咲かせ、香りもよく、公園樹、庭園樹として好まれる。樹皮が薬用になる。葉は芳香があり、殺菌作用もあり、端午の節句にホオノキの葉で包む柏餅などのように大きなホオノキの葉はものを包むのに使われる。
食材を包んで朴葉寿司、朴葉餅、朴葉にぎりなどとし、火にも強く味噌で肉や野菜を混ぜて調理する朴葉味噌などの器に使う。
万葉集の「わが背子が捧げて持てるほほがしはあたかも似るか青き蓋(きぬがさ)」の歌のように日傘の代わりに使うのもホオノキの葉が大きい故である。
樹皮は生薬の和厚朴として知られているが、果実は民間薬として風邪、嘔吐などに用いられていた。
樹皮は漢方薬に使われる。
強い他感作用(Allelopathy)を示すため樹冠の下に他の植物が生えにくい。落ち葉や根から分泌される他感物質によって発芽や生育が阻害される事による。そのため、樹冠の下には下草が少ない。
ホウノキの花は雄しべと雌しべの成熟時機をずらす事で自家受粉を避ける仕組みがあるが、沢山の花の中では成熟時機が同じものがあり、自家受粉することがある。自家受粉では受精後の生育も劣り、結実も良くない事が示されている。