科・属名

クスノキ科 Lauraceae

ニッケイ属 Cinnamomum

学名

Cinnamomum okinawense Hatusima,

英名

Cinamon

和名の由来

中国では香木を「桂」と呼び、本種では樹皮が厚いことから「肉桂」と呼ばれた。これが転じてニッケイとなる。

学名の由来

Cinnamomum ギリシャ語のKino 巻く + amomos 香味 に由来 okinawaense 沖縄の。

木の特性

分布

中国南部、日本(沖縄北部、本島、久米島から奄美群島の徳之島)に自生。

中国原産とされていたが、近年日本での自生が確認された。

形態

常緑高木。

幹は直立し、灰褐色、平滑。

葉には三行脈があり、しっかりした革質、円形、先は長く尖る。側脈が葉の先端まで伸びる点でヤブニッケイと区別する。幼葉には白色毛の短毛があるが成葉の表面は無毛となる。

初夏に淡黄緑色の花を付ける。当年枝の葉腋に集散花序を出し、花はまばらで小さい。花被片は6、がく片との区別は無い。雄しべは6,雌しべは1。

果実は球形の液果で秋に黒紫色に熟す。杯状の花托が果実の基部を包む。

種子は1個。

特性

樹皮はケイヒアルデヒド、オイゲノール、カンフェン、シネオール、リナロール、、葉はシトラール、シネオールを含む。

種子は脂肪油を豊富に含み、その成分は主にジラウリルモノカプリンで、カカオ脂の代用とする。

生薬

生薬名

(A) 菌桂 神農本草経(上)はCinnamomum cassia Blume

使用部分

幹皮 枝皮

採集時期・方法

十数年経った樹木を伐採し、幹・枝の皮を秋にはぎとり陰乾する

色・味・香り

外面 暗赤褐色。内面 赤褐色。特異な芳香があり、味は甘く、辛く、後にやや粘液性で、わずかに収斂性である。

撰品

芳香・甘味・辛みがともに強く、渋味と粘液性の少ないもの。

主な薬用成分

精油(ケイアルデヒド)、ジテルペノイド(cinnzeilanol)、セスキテルペノイド(cinnamoside)、タンニン(cinnamtannin)、糖(glucose fructose sucrose)

公定書

日本薬局方 ―ケイヒとして収載。

       ケイヒCINNAMOMI CORTEX

       Cinnamomum cassia Blume(Lauraceae)の樹皮又は周皮の一部を除いたもの

 局外生規:―

  中共薬典―肉桂CORTEX CINNAMOMI

       樟科植物肉桂Cinnamomum cassia Presl的干燥樹皮

       桂枝RAMULUS CINNAMOMI

       樟科植物肉桂Cinnamomum cassia Presl的干燥きょう枝

漢方例

桂枝湯、葛根湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加朮附湯など非常に多数の薬方に用いられている。

薬性・薬味

辛、温

応用・利用

発汗、解熱、鎮痛、(頭痛・身体疼痛など)、鎮静(のぼせ)、鎮痙などの作用あり、漢方薬に配合される。

芳香建胃剤として食欲不振・消化不良に粉末が生薬製剤とされる。

その他

菌桂は現在通用さてない生薬名である。

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

根、幹の皮を菓子の香料、香辛料とする。葉や皮を噛めば,香りと辛みがある。細い根は10cm程度に切って束ね、「ニッキ」と呼んで子供たちが菓子代わりにした。

本樹種は江戸時代享保年間に中国から輸入され、国内に植栽されたとの説があり、Cinnamomum loureirii Neesの学名が使用されていたが、近年になって沖縄にも野生状に生育するところがあり、Cinnamomum okinawense Hatusimaの学名が使われるようになった。

しかし、本当の自生地ははっきりしない。かつては高知県、和歌山県で栽培されていたが今はほとんど栽培されていない。ニッケイの葉を餅を包むのに用い、また、シキミと同様に仏前に供える地域もある。幹の皮は線香にも用いる。根または根皮は、中国の桂皮の代用とされ、粉末、水溶液などにして芳香性健胃剤として用いられる。飲料、石鹸香料にもされる。

植物全体、特に根や樹皮に芳香がある。

漢方では樹皮をケイヒ(桂皮)、小枝をケイシ(桂枝)、根の皮はニッケイ(肉桂)と呼ぶ。また最近ではシナモンとも呼ばれる。

本種に類似の種は広くアジアの熱帯地方に木にまつわる話し、古くからスパイスとして使われている。市場では「シナモン」と「カシア」の区別がされる場合もあるが、カシアは近縁種のシナニッケイの樹皮からつくられ、成分が少し異なるが、日本では両方をニッケイと呼んでいる。

中国では後漢時代の「神農本草経」に記されている。旧約聖書や古代ローマの記録にも見られる。エジプトではBC4000年頃にミイラの防腐剤として使われていた記録がある. n日本へも古くから生薬として伝わり、勝訴す院にも乾燥したシナモンが保存されている。

日本へも古くから生薬として伝わり、正倉院にも乾燥したシナモンが保存されている。

アオスジアゲハの食樹。