科・属名

バラ科 Rosaceae

サクラ属 Prunus

学名

Prunus armeniaca L. var

英名

Common apricot, Apricot

和名の由来

漢名の「杏子」の唐読みからアンズとなった。

学名の由来

Prunus ギリシャ語のPloumae(スモモ)が語源。armeniaca 小アジアのアルメニアの地名を意味する。

木の特性

分布

ヒマラヤ西部から中央アジアにかけて自生。

日本には中国を経由して奈良時代にウメと共に渡来したと言う。

形態

落葉小高木、または高木。

樹皮は赤みを帯び、若い枝は紫褐色。

葉は広卵形、先端は鋭突。葉の基部には蜜腺がある。表面は無毛、裏面基部だけ有毛。春、前年枝の葉腋に1-2個の淡紅色の無柄の花を付ける。花は葉より早く開花し、ウメによく似る。がく筒は紅紫色で先端は尖り、花時に反り返る点で、反り返らないウメと区別する。花弁は先端が丸く、基部が細く、白または淡紅色。雄しべは多数、雌しべは1、がく筒内に納まり、有毛。

初夏に橙黄色に熟し、果実の表面は細毛が密生する。核果。

種子の表面は編み目模様がある(ウメでは小孔になる)。果実は熟すると種子と果肉は離れやすい(ウメでは離れない)。

特性

種子はアミグダリンを含む。アミグダリンは酵素エルムシンで加水分解されて、青酸、ベンズアルデヒド、ブドウ糖となる。

種子成分には鎮咳作用がある。

材は辺材が黄白色、心材は灰褐色で、硬く緻密である。

生薬

生薬名

杏核 神農本草経(下)はホンアンズ Prunus armeniaca L.で同じ

使用部分

種子

採集時期・方法

夏 果実が熟したら、殻を割って、中の種子だけを集め、晒干にする。

色・味・香り

褐色。ほとんどにおいがなく、味は苦く、油っぽい。

撰品

粒がそろい、丸みがあり、味苦く外皮の剥げていないもの。

主な薬用成分

青酸配糖体 脂肪油 ステロイド(estrone 、estradiolー17ーβ)

公定書

日本薬局方 ―キヨウニン  ARMENIACAE SEMEN

       ホンアンズ Prunus armeniaca Linne 又は

       アンズ P. armeniaca Linne var. ansu Maximowicz

      (Rosaceae)の種子

局外生規 ―

中共薬典 ―苦杏仁 薔薇科植物 山杏 Prunus armeniaca L.

           var.ansu maxim.

       西伯利亜杏 P.sibirica L.

       東北杏   P.mandshurica (Maxim.)Koehne

       或  杏   P.armeriaca L. 的乾燥成熟種子

漢方例

麻黄湯(傷)、麻杏甘草石湯(金)

薬性・薬味

苦、温

応用・利用

鎮咳・利水・通便の作用があり、喘咳・喘息・去痰・便秘などを改善する薬方に配合される。

暮らしの中での用途や木にまつわる話など

果実を食用とする。乾しアンズは実を半切りして核を取り去り、天日で乾かしたもので菓子に入れたり、料理に使う。中国では熱い湯を注ぎ、「杏湯」を作って強壮様に飲む。砂糖漬けにして乾燥したものやジャムにもされる。

材は彫刻用、小細工物用に利用される。 薬用、観賞用に栽培される。

中国では古くからこの果実が利用され、それに因んだ故事も伝えられている。名医の代名詞「杏林」もその1つである。

中国、三国時代に薫奉(とうほう)という優れた医者が居り、貧乏人からは治療代を取らず、その代わり完治した症状の軽い患者にはスモモを1株、重病だった患者には5株を植えさせた。このため数年後には家の周りがアンズ林になった。その後この故事に因み、人間的にも優れた医師が「杏林」と呼ばれるようになった。

杏林大学、ドラッグストアの杏林堂などはその故事に習ったものであろう。