科・属名
マメ科 Legminoceae
サイカチ属 Gleditsia
学名
Gleditschia japonica Mig.
英名
Japanese honey locust
和名の由来
古名の「西海子」(さいかいし)から変化した。
学名の由来
Gleditsia 18世紀のドイツ植物学者Gleditsch氏に因む。Japonica 日本の。
木の特性
分布
日本固有種。本州、四国、九州に自生。
形態
落葉高木。雑居性。
樹皮は皮目が多いが、老木では縦に割れ目が入る。幹は直立し、15m程になる。幹や枝には分枝した刺が多数ある。
葉は1-2回の偶数羽状複葉、長さ30㎝。小葉は2㎝ほどの長だ円形、6-12対がある。
同じ株に雄花、雌花、両生花がつく。雄花序の雄花はやや小さく花数は3-5個が集まり、雌しべはない。雌花序では雌花が1個ずつまばらに付き、不稔の雄しべがある。初夏に長さ20㎝の総状花序をつける。
がく片は4、花弁は4、黄緑色、だ円形。雄しべは8、雌しべは1。
秋には曲がりくねった、長さ30㎝の灰色の豆果を付ける。莢には数個の種子が出来る。種子は大きさ1㎝ほど。
特性
木部はモリサカキジン(フラボノイド)、莢、種子はグレジチアサポニン、スティグマステロール、βーシトステロール、葉にトリアカンチン(プリンアルカロイド)、とげにフェノール性物質、タンニンを含む。
辺材は黄白色、心材は微紅色で肌目は粗く、特別な光沢をもち、気乾比重は0.65~0.75で、やや重硬で、強い。
割れにくく、心材は耐朽性があり、切削加工はやや難しい。
生薬
生薬名
皂莢 神農本草経(下)はトウサイカチ Gleditsia officinalia
使用部分
果実 刺 種子
採集時期・方法
10月頃、黒みを帯びて、良く熟した莢を採取し日干しにする。熟した莢の中の豆を取りだし、熱湯をくぐらせてから日干しする。幹に有る刺を集めて乾燥
色・味・香り
外面 淡褐色~暗褐色で淡灰色の小隆起点が散在。弱い匂いがあり、味は苦い。
撰品
充実して大きいもの。
主な薬用成分
サポニン
公定書
日本薬局方 ―
局外生規 ―
中共薬典 ―皂角刺 豆科植物皂莢 Gleditzia sinensis Lam.的乾燥棘刺
漢方例
皂莢丸(金)、托裏消毒飲(万病回春、外科正宗)
薬性・薬味
辛、温
応用・利用
皂莢(果実の莢)には去痰・排膿・利尿・抗炎症の作用があり、腫れもの・扁桃腺炎・皮膚疾患の初期などに用いる。
また、腫れものに刺(皂莢刺)種子(皂莢子)を使用する。 日本の民間療法でも種子やとげを腫れものに使用する。
暮らしの中での用途や木にまつわる話など
別名カワラフジノキ。
園樹、公園樹として利用、材は建築材、器具材、箱類、杵、寄木細工、新炭材、葉は食用、豆は薬用のほか、サポニンを含むので泡立ちがよく洗濯用に用いられていた。とげは利尿、解毒剤に用いられる。本種は寿命が長く樹齢数百年の古木もある。
豆果の種子と莢、刺は生薬とする。
サポニンを含むので莢は洗剤として利用された。別名「石けんの木」とも言われる。
若芽、若葉は食用とする。
樹皮は染料。
サイカチの種子は硬く、種皮が傷つかないと水を吸収しないのでそのままでは発芽できない。この樹に日本最大のマメゾウムシ科のサイカチマメゾウムシ(ハムシ科に近縁)が寄生し、果実に産卵する。幼虫は種皮を破って内部に入るが、この時期にまとまった雨が降ると、幼虫は中で溺死するが、種子は給水して発芽する。この時に雨が降らなければ中味を食べてさなぎが成虫となり羽化する。
この種では豊富な樹液が滲出するので、カブトムシやクワガタなどの樹液食昆虫の食樹となる。